第2章 壊された電灯
「これはもしかして……いや、やっぱ何でもない」
「疑問:言葉の続き」
「気にするな。たぶん思い過ごしだ」
『(…………?)。』
耳を触られた気がした。
10Dもプラヴァの言いかけたことが気になったが、訊いても教えてくれそうな雰囲気ではなかったから止めておいた。
またメンテナンスに集中する。
「……10D、どこか体に異常はないか?」
『特にないよ。』
掛けられた声に答えた。こんなこと訊いてくるなんて、何かあったんだろうか。
「じゃあ、メンテナンスは以上だ」
『えっ、早い。』
10Dはあまりの短さに思わずガバッと上体を起こす。ものの数分で終わってしまった。
「D型なだけあって、特に問題になるような損傷もない。金はポッドの分だけにしといてやる」
さっさと出せ、とプラヴァが手を差し出す。
『……ちょっと手抜きされた気分だけど、まぁいいや。ありがとね。』
「報告:感謝」
お金を渡すと、メンテナンススペースを出た。
アクセスポイントからメールで報酬を確認し、そのままレジスタンスキャンプの外へ走る。
『ポッド、どれくらい強くなったのか見せてよ。』
「了解」
近くにいた機械生命体にポッド107がガトリングを浴びせる。
激しい金属音を撒き散らし、機械生命体の体を簡単に穴だらけにしてしまった。
事切れた機械生命体の様子を見に近寄る。
『前より射撃音が大きかったし早くなってたね。』
「同意」
『これなら今よりもっと戦いやすくなるよ。強化出来て良かった。』
ポッド107の機体をポンポン撫でながら10Dは嬉しそうな顔をした。
「質問:次の任務」
『あぁ、そう言えばポッドはその話の時は居なかったね。次はまだないから好きに動き回ってていいんだってさ。』
14Oの言葉を都合良く解釈しながらポッドに説明する。
「提案:駅廃墟の偵察」
『あー、まだ見てなかったね。あの時はそれどころじゃなくなってたし、すっかり忘れてた。』
じゃあさっそく駅廃墟に行こうか、と端末にマップを表示し目的地までの道を確認する。