第2章 壊された電灯
「目的地をマップにマーク。ゴーグルに反映」
すかさずポッド107が10Dの戦闘用ゴーグルにデータを転送させた。
例の如く視界に矢印が現れる。
道に迷って困らないように、とポッド107が自ら考えた10Dの為のオプションだ。
迷い癖が酷いからこそ付随されたものだが、他のヨルハ隊員には無い、自分だけの為にポッド107が用意してくれたものだと思うと10Dは堪らない気持ちになる。
ヨルハ1機分くらい強くて、ナビゲーションも的確で、気の利いた機能も付けてくれる。それに何があってもいつも一緒に居てくれる。
たとえ自我もなく、そう行動するようにプログラムされているだけだとしても、ポッドを敬愛せずには居られない。
10Dは自身の随行支援ユニットを誇らしく思いながら暗闇のなか軽い足取りで駆け出した。