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よるがあけるよ

第2章 壊された電灯


これは礼だ、とアイビスが報酬を手渡す。
『わぁ、欲しかったやつだ。ありがとうアイビス!。』
綺麗な水が数個入ってるのを見て、10Dが喜んだ。
「推奨:当機ポッド107のパワーアップ」
「強化素材だったのか。入れておいて良かったよ」
さっそくメンテナンス屋に行っておいで、とアイビスが10Dとポッド107を部屋から送り出す。
綺麗な水は少しずつ集めていたがなかなか効率良く手に入らなかったため、今までポッド107の強化が出来ていなかった。
欲しがっていた物が一気に手に入った10Dは勿論、ポッド107の飛び方も心なしか浮かれて見える。
『プラヴァ、素材揃ったよ!。』
バタバタ走りながら10Dがメンテナンス屋に駆け寄った。
「…………」
座り込んでいる女性型アンドロイドのプラヴァが面倒臭そうな表情で10Dを見上げた。
『ポッドの強化をお願いしたいんだ。ほら、お金も素材もちゃんとあるよ。』
「……そう」
10Dがしゃがんで素材をプラヴァの前に並べる。
「推奨:当機ポッド107の強化及び、10Dのメンテナンス」
『あ、私のメンテナンスもやらなきゃいけなかったね。それもお願い。』
「2人分とかめんどくさ……とりあえず道具持ってくる」
プラヴァが立ち上がり、傍らに立て掛けていた松葉杖を突きながら倉庫に入っていった。
倉庫の入り口まで付いていった10Dが覗き込む。
『手伝おうか?。』
「じゃあ、この工具箱を持ってって。あとついでに明かり点けて」
『ポッド、出番だよ。ライト点けて。』
「了解」
それを聞いて、プラヴァが首を横に振る。
「ポッドは駄目だ。作業しにくいから他の灯りが良い」
『はーい。』
工具箱を持ち上げ、プラヴァの後ろを歩く。メンテナンス用のスペースに行き、10Dはそっと工具箱を作業台に置いた。
それから作業台の隅にカンテラを設置する。
「まずはポッドからだ。10D、さっき置いてきた素材持って来て」
『うん、わかった。』
10Dがすぐさま走り、あっという間に両手に荷物を抱え戻ってくる。
「よし。始めるぞ、ポッド」
「報告:よろしく頼む」
どんな風に作業をするのかと気になり、10Dが作業台の横に立つ。
「……10D、気が散るからあっちで待ってな」
『えー、ダメなのー?。』
「駄目だ。邪魔」
手で追い払われ、10Dは渋々その場を離れた。
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