第2章 壊された電灯
『……そっか、教えてくれてありがとう。』
10Dは求めていた情報が手に入った為、容赦なく目の前の機械生命体を破壊した。
喋れても喋れなくとも弱い奴は弱いままなのだと戦いの終わりを呆気なく思うと同時に、アイビスと司令官の依頼を一気に解消出来た、と10Dは内心喜ぶ。
早くバンカーの14Oに連絡し、アイビスに結果を報告しよう。
一息吐いた10Dはキャンプに戻るためにマップを表示しようとする。
……だが、何か嫌な予感がした。
何やら音がする。少し離れた所から、こちらに向かって近付く音がする。
ガシャン、ガシャンと少しずつ、音が大きくなっていく。
「…………カ………ノ……………」
声が聞こえる。
「ア……ド………ロイ…………ド……」
誰の声だ、と10Dは周辺を見回す。
もう分かっている。アンドロイドとは違う声質だ。
「報告:複数の機械生命体を確認」
周囲に赤い光の粒が現れ始める。
「カタキを……ウツ、ノダ……」
「敵ヲ……討ツ……仇を……カタキヲ……」
10Dは既に無数の機械生命体に囲まれていた。
武器をギュッと握り締め、周囲の敵に向ける。
「アンドロイド……討つ………」
「同胞ノ、仇ヲ……仲間ノ、死ヲ……」
「殺……ス……アンド、ロイド……殺ス……」
「殺ス……殺す……壊ス………」
「死ね、死ネ、償え、悔ヤメ」
ポッド107がガトリングの砲口を構え10Dの命令を待つ。
想定外の数の敵に囲まれた10Dはいつ口火を切ろうか逃げようかとパニック寸前の頭で考えた。
機械生命体がにじり寄り、互いの距離は少しずつ縮まっていく。
『どうする?。』
「推奨:戦う。多少時間は掛かるが、不可能な数ではない」
『……わかった。』
ポッド107の意見を聞き、すぐに敵の懐目掛けて斬りかかった。
背後でポッド107の射撃音が響く。
10Dは敵の攻撃と流れ弾を避けながら機械生命体を打ち倒す。
最初は怯んでいた10Dではあるが、いつも通りに戦えば何ということはなかった。
「殺ス! 殺す! アンドロイド! 殺ス!」
「今度は! キサマをオブジェにシテ! ヤる!」
固まって襲撃してきた機械生命体達をポッド107がレーザーで一掃する。
2機共に攻撃の手を弛めない。こちらに敵意を向ける機械生命体をただひたすらに倒し続けた。
一体どれ程の時間武器を振るっていたのだろうか。
気付けば声は少なくなっていた。