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よるがあけるよ

第2章 壊された電灯


「14Oへの日頃の感謝の心を持って考えることが重要。そんなに悩む必要はない」
『うん……まぁ何か考えて、何か決まったら14Oに何かするよ。』
まとまらない思考のままに曖昧に答えて、10Dは取り敢えず廃墟都市中央の駅廃墟方面に行くことにした。



『ねぇ、ポッド。最近駅廃墟って機械生命体の巣になりかけてるらしいね?。』
走りながら10Dが訊く。
「報告:レジスタンスキャンプのアンドロイドの数人が、複数の機械生命体が様々なガラクタを手に駅廃墟に入っていくのを目撃したと証言」
『ついでに倒しておいた方がいいかな……。』
「推測:目的地の近くではあるが、10Dの1機のみでの侵入は非常に不利。返り討ちにあう可能性大」
確かに、と10Dは頷く。
危険を察知した場合すぐに逃げられるような立地であればいいが、駅廃墟内は入り組んでいる為いざという時に脱出できなくなる心配があった。
『……まぁ、こっそり覗いてあまりにも危険そうな集まりだったらバンカーに情報だけ送ろうか。そしたら数日後にはヨルハの戦闘部隊が来て一掃してくれるだろうし。』
「同意:今回は様子見だけにしておく」
『何にしろまずはアイビスの依頼を済まさなきゃね。』
廃墟都市中央まで走り、駅廃墟から南へ伸びる高架の下に着いた。
錆びたり変形したりで原型を失ったフェンスが風に揺れてギシギシと軋む音を立てる。
高架下には10メートルおきに電灯が置かれていて、その中の数台が機械生命体の形をしている。
ゴミ置き場にあったものと同様に頭部や胴体に無数の穴が空いており、その穴から内側に備えられた電光が漏れ出て周囲を照らしていた。
『ここら辺を見張っとけばいいんだね。』
「推奨:近くの低い建造物の屋上に身を潜める」
ポッド107に従い、高架下の電灯がよく見える建物の屋根に登る。ポッド107のライトも消して気付かれないようにした。
近くにも機械生命体が数体見える。しかしそのどれもが何をするでもなくボーッとしていたり、トボトボ歩き回っているだけだ。
他の機械生命体がやったんだな、と10Dは座りながら思った。
来るかも分からない相手をひたすら待つ。
たまに2機で「来ないね」だの「寒いね」だの話して過ごしたが暇潰しにすらならなかった。
どれくらい経っただろう。飽きてきた10Dが訊くとポッド107は待機を始めて38時間21分経過していることを告げた。
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