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よるがあけるよ

第2章 壊された電灯


〈黙りなさい。最近、地上の至るところで人語を使う機械生命体の存在が多数確認されています。この地域にも言葉を喋る機械生命体が居ないか調べてきてください。以上。」
指摘すると、14Oは強い口調で牽制し用件を述べるだけ述べると通信をすぐに切ってしまった。
『用途が違うけど、似合ってたね。』
「疑問:処分するはずのゴーグルを所持し、髪にくくりつける意味」
『えー?。……分からない。』
ほんの少しだけ考えて、10Dは諦めた。
「提案:人類のデータベースから似たような案件を探し、14Oの真意を探る」
『やってみて。少し気になる。』
ポッド107はしばしキュルキュルと音を立てた後、端末に画像を表示した。
「報告:人類は好意を持つ相手と同じ格好をする、または同じものを身に付けることで新密度を高めていた模様。通称"ペアルック"と呼ばれていた」
画像には同じ衣服を着て隣り合って歩く2人の男女の姿があった。
『へぇー……制服みたいな感じ?。ヨルハなら大体みんな同じような服装してるじゃん。』
「否定:制服はまた違う意味が込められている。推測:14Oの行動は10Dに対する「親愛」の感情から行われている」
『親愛………?。』
いつもツンケンしている14Oがまさかそんな、と10Dはポッド107の言葉を疑う。
『でも14Oが人類の習慣の真似事をするとは考えにくいから、自ら芽生えた思考で無意識に人類と同じ事をしているのか……つまり模倣なんかじゃない本物の感情ってこと?。』
「同意:恐らく14Oはペアルックを知らない。だがアンドロイドにも人間と同じような思考回路が組み込まれているため、ある程度の強い好意があれば同じ事をする可能性は十分にある」
『そっか。………親愛か。』
「推測:ヨルハ部隊は感情を出すことを禁止されており、14Oは特にその規則を守ろうとしている。だが、抑えられた感情がこのような形で表に出ているということは、14Oは10Dに気付いてもらいたいと思っている可能性が高い」
全然気付かなかったな……と10Dがやや俯いて腕を組む。
『私……どうするべき?。』
「推奨:14Oに何かしらの形で気持ちを返す。10Dからも親愛を表現すれば14Oの想いも報われる」
『何かしらの形でって……いきなり言われても思い付かないなぁ。』
いまいち想像力に欠けるアドバイスをもらい、10Dの俯きの角度が深くなる。
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