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よるがあけるよ

第2章 壊された電灯


『ヒルマイナがお喋りなのはいつものことだから今更気にしないよー。それで頼み事って?。』
「あぁ、取り合えずこっちに来てくれ。」
アイビスがカンテラを手に部屋を出る。
少し歩き、キャンプの隅っこのゴミ置き場に連れてこられた。
「これを見ろ」
アイビスがカンテラを持つ手でゴミを指差す。
それはアンドロイドより一回り小さく、胴回りが太く、頭部が大きくて丸いガラクタだった。何故か胴も頭も1㎝弱の大きさの穴が大量に空けられている。
『これって……機械生命体?。手足がないし、もう壊れてるね。』
「そうだ。でもこれを壊したのはアンドロイドではない……機械生命体達だ」
『えっ、何で機械生命体が?。』
単純な思考しか持たないはずの機械生命体が同胞を殺すなんて、と10Dは驚く。
「……そもそもこれは、機械生命体の部品を利用して機械生命体に似せて作られた電灯だったんだ。ほら、外でたまに見るだろう」
10Dはそう言えばあった、と小さく頷いた。
「同じ機械生命体の姿なら、敵も我々の設置したものを攻撃して壊したりしないだろう……と思ったんだが、この様だ。もう既に何台もやられている。アンドロイドが改造したものだと気付いたのか、それとも敵味方の区別がつかずに壊したのか……」
いずれにしろ新しいものを設置し直さなくては、とアイビスは溜め息を吐いた。
「お前には、機械生命体がどういった理由で電灯を壊しているのかを調べてきてほしい。特定の機械生命体だけが電灯を壊すようならソイツを倒してくれ」
『了解。場所の指定は?。』
「廃墟都市中央の高架下付近がいい。壊された電灯もそこの近くにあったから、別のもまた犯人が壊しに来るだろう」
相手は雑魚だろうが気を抜くなよ、とアイビスは10Dに忠告する。
『うん、何か分かったらすぐ戻って報告する。じゃあ行ってくるね。』
アイビスと別れ、レジスタンスキャンプを出た。
直後にバンカーから通信が来る。
〈こちらオペレーター14O。さっそく司令官から10Dに調査の依頼が入っています〉
『あ、14O。その黒い布ってさっきの……。』
端末に映る14Oを指差す。
こちらで処分しておく、と言われて渡したはずのゴーグルは現在14Oの金髪にくくりつけられていた。
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