第6章 目覚め
その数秒間を利用して、10Dは無防備な怪獣型の機体目指して武器を突き立てた。
重力を伴った一撃が怪獣型機械生命体の心臓部を貫く。事切れた敵が爆発する前に10Dは小剣を引き抜き、怪獣型の背中から飛び退いた。
『まずは1匹。どんどんやっつけよう。』
破片が散らばる音を歯牙にもかけず、群れの方へ威勢良く向かう。
〈こちら14O。……10D、大丈夫ですか?〉
また誘き寄せようとポッド107の明かりを付けた直後、14Oからの通信が入った。
『大丈夫。今のところ順調だよ。』
〈応援要請に3名の隊員が応えてくれました。あと30分もしない内に全員揃うはずですから、物陰に隠れて待機していてください〉
光に気付いた1体を先程と同様に誘導しながら答える。
『まだやれるよ。なにも敵を一斉に相手する訳じゃないんだからさ、特に問題ないよ。いつもとちょっと違うだけ。』
心配する14Oを宥めるように10Dが余裕たっぷりに微笑んでみせた。
〈はぁ……くれぐれも無茶だけはいけませんよ。危なくなったらすぐに逃げなさい〉
そう言い残し、14Oが通信を切った。
今回は強く止めることもなく手短だ。10Dが敵と対峙している真っ最中だということは多分バレているだろう。
『心配いらないよ……っ!。』
怪獣型の飛び蹴りを避けながら10Dがポッド107にレーザーを撃たせる。バランスを失い横転した怪獣型の両脚を大剣で圧し壊す。
立ち上げれなくなった怪獣型が無い脚をバタつかせ、むやみやたらに光線を放った。横一閃に通る光線を間一髪飛び跳ねて避ける。
『危な……っ。』
ポッド107に一瞬だけ掴まり、エネルギーを吐き終えた怪獣型に目掛けて小剣を振り下ろした。
金属を擦り合わせたような鳴き声を上げ、そのまま爆破して飛び散る。
そうしてまた次の怪獣型を誘き寄せては倒すのを繰り返し、最初に確認した数の半分は減らすことが出来た。
「報告:順調ではあるものの、注意散漫になり始めている。推奨:待機もしくは退避」
『もうすぐ加勢来るんでしょ?。だったらあと少し頑張って良いところ見せよう。』
「不同意」
ポッド107のつれない返事を聞きながらも尚10Dは同じような作業を続け、遂には最後の1体を残すのみとなった。
『アイツで最後かぁ。みんなが来ないうちに任務終わっちゃいそうだね。』
ポッドも14Oも心配しすぎだよ、と10Dが揚々たる態度で笑う。