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よるがあけるよ

第6章 目覚め


怪獣型は1区間に1体見るくらい普通に出てくる機械生命体だ。
だけど今回は見える範囲だけでも10体は居る。
『まぁ……いつもに比べればすごく多いけどさ、慌てずに戦えば私だけでも大丈夫だよ。』
重厚な足音が絶え間なく聴こえる。
囲まれるといけないから、なるべく少しずつ群れから離して倒すのがいいだろう。
その際に複数の機械生命体がこちらに気付いてしまったら、戦うどころではなくなる。
気を付けなければ。
『…………。』
気配を消して物陰から様子を窺う。
一番近い怪獣型がこちらに向かって歩いてくるのが見えたが、どうやら10Dの存在には気付いていないようだった。他の怪獣型はどれも別の方を向いている。
チャンスだ、と10Dはポッド107に指示しライトを点滅させた。
暗闇で不規則に光る明かりを見つけた怪獣型が思惑通りに10Dの潜む物陰にゆっくり近寄ってくる。
『……よしよし、いい感じ。』
足音が目前まで迫るタイミングで10Dはライトを消させ、別の建物の陰に移った。
怪獣型は正体不明の光を見失い、辺りを見回して探している。
また物陰からライトを出し、誘き寄せる。
ここまで来たらもう大丈夫だろう。順調に群れから距離を置いたところで10Dは小剣を握り締めた。
『ポッド、行って。』
その言葉に従ってポッド107が物陰から飛び出した。
強めにライトを灯し、怪獣型の注意を反らす。
挑発するように飛ぶポッド107を追い掛けようと怪獣型が10Dに背を向けた。好機を逃すまいと10Dは死角から急所を狙って小剣を振るう。
直後、攻撃を食らった怪獣型が10Dの存在に気付いて奇声を上げた。金切り声のような汚い咆哮だ。
紫色の光が怪獣型の機体から薄く洩れる。
それを見て10Dはポッド107に灯りを消してこちらに戻るよう指示をした。すぐさま飛んで来たポッド107を連れて怪獣型から距離を取る。
『来るよ。』
10Dがポッド107に合図し、慣れた様子で怪獣型の後ろ側へ回り込むように走った。
途端、10Dの背後を紫色の光線が突き抜けていく。
同じ場所に立ったままで居たら確実に当たっていた。光線を気にもせず10Dは走り続け、怪獣型との距離を見計らって高く跳んだ。
怪獣型は、背中で溜めたエネルギーを口から放射した後の戦闘体勢に戻るまでのインターバルが少し長い。
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