第6章 目覚め
少女の姿形をしたアンドロイドと、その随行支援ユニットが廃墟都市の大通りを歩いている。
依頼された収集物を預けるため、レジスタンスキャンプに向かっている最中だった。
〈オペレーター14Oより10Dへ。新たな任務が追加されました〉
14Oから通信が入る。
『はーい。あ、頼まれてた資材集まったよ。今から預けに行くところ。』
〈では預けてからでも結構です。完了したら折り返してください〉
一旦通信を切り、またレジスタンスキャンプに向かう。
『新しい任務だってさ、ポッド。』
「推奨:走る」
『そうだね。たぶん次の任務は収集じゃないよ。』
意気揚々と駆け、あっという間に収集の任務を終わらせた。
〈こちら14O〉
『14O、任務終わったよ。』
〈早くて助かります。次の任務は多少緊急性のあるもののようなので、すぐにでも現場に向かってください。目的地に印を入れておきます〉
直後、10Dのマップにマークが付いた。
目的地は廃墟都市の北側の方だ。近くに崖がある。
矢印を出してもらい、道を走っていく。
〈………10D、すぐに向かえと言いましたが、考え直したので撤回させてください。この任務は少し危険です。他の隊員が来るまで待った方がいいと思います〉
『えっ、でも緊急なんでしょ?。私だって戦えるんだからすぐにでも行かないと。』
足を止めずに目的地へ進む。あと500メートル程で着くという表示がゴーグルに映された。
〈任務の内容は、大量発生した怪獣型機械生命体を殲滅することです。現在目的地の近くには10Dしか居ません。あなただけでは心許ないので至急、周囲の隊員に応援要請をします。ですからもう少し待機していてください〉
『怪獣型なら毎日倒してるよ。心配なのは分かるけど、私は自分の出来ることで少しでも部隊に貢献したい。大丈夫だから、私に任せて。』
〈待ってください、10D。お願いです、待ちなさい……!〉
『ごめんね。14O。』
勝手に通信を切った10Dはそのまま走って目的地に向かう。
久し振りの資材収集以外の任務に舞い上がっている様子の10Dをポッド107も止めようとしたが、結局10Dは聞かずじまいだった。
目的地周辺まで来ると、武器を手に取り様子を窺う。
『……確かにいっぱい居るね。』
「推奨:応援部隊の到着まで隠れて待機」
『却下。少しずつ倒せばいける。』