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【YOI男主】激突!皇帝VS風雅人・長谷津冬の陣

第4章 日露2大怪獣・ゆ~とぴあの決戦。


何度もむせ返りながら、2人は湯の中から身体を起こした。
「大丈夫か!?」
「ぇ…あ、平気…」
必死の形相で自分に問いかけてきた純を見て、ヴィクトルはそれまでの怒りも忘れると無防備に返事をする。
注意深くヴィクトルの身体を凝視していた純は、大きく安堵の息を吐いた後で、屹と顔を上げると改めて声を張り上げた。
「このドアホ!現役復帰したんなら、もっと自分を大事にせんかい!あんたにもしもの事があったら、あんた自身とロシアのスケ連だけやなく誰に迷惑がかかるのか、何よりも誰が一番悲しむと思うてんねん!」
純の怒声にヴィクトルは我に返ると、小さな声で「すまない」と謝罪の言葉を呟いた。
そんなヴィクトルの身体を自分から押しのけた純は、彼から顔を背けてしとどに濡れた自分の髪をくしゃりと片手で押さえながら、力なく言葉を吐き出す。
「勇利は勇利だけのもの。せやけど…そんな勇利が見てたんは、ずっとあんたの事やった」
「え…?」
「昔からそうや。僕や他の先輩スケーターらが何をしようと、いつだって勇利の心の中におるのは、勇利の視線の先におるのは、ヴィクトル・ニキフォロフの姿だけ。そんなん、ハナっから敵う訳ないて判ってたけど…」
いつしか肩を震わせて涙声になっていた純を訝しむように、ヴィクトルは彼に近付こうとしたが、気配を察したのか再度ヴィクトルに向き直った純は、湯と涙に濡れた顔のまま飾り気のない本音をぶつけてきた。
「何であんたは、勇利の『憧れの人』のままでいてくれへんかったんや!何で『コーチ』『ライバル』のままでいてくれへんかったんや!?何で…」
「…!」
嗚咽を漏らし続ける純を、無言で見つめていたヴィクトルだったが、やがてゆっくりと身体を動かすと、純を包み込むようにそっと抱きしめた。
「…何のつもりや?」
「お前も、勇利の事が好きなんだね」
「ふん、僕の勇利に対する『好き』は、あんたの爛れたそれとは違うわ。離さんかい、気色悪い!下手に慰められても惨めなだけや!」
「いいから聞いて」
抱きしめる手に力をこめながら、ヴィクトルは純の耳元で囁いた。
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