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【YOI男主】激突!皇帝VS風雅人・長谷津冬の陣

第3章 超局地的寒気団、襲来。


「大概にしとけやこの『デコ露助』が!シニアデビューの大事な時期過ごしとるプリセツキーくんに、何余計な負担かけとんねん!」
(一体このコの何処が、『アイスドール』だっていうんだ)
怒りの表情も露わにロシア語でがなり立ててきた純に、ヴィクトルはかつて彼をそう評した親友に心の中で毒吐くと同時に、あまりにもどストレートな揶揄を聞いて、流石に一瞬だけ口元が引きつるのを覚えた。
ロシア語はまだ不自由な勇利はともかく、その隣に立つユーリも、一見大人しそうな純の激昂した姿を前に、僅かに表情を強張らせている。
「大体、アンタも現役復帰したんやろ?GPFまでのような勇利のコーチだけやない。試合前の調整がどれだけ大切か判らん訳ないやろが!今日ここへ来たんは、ホンマに直接勇利に会って確かめなあかんほど、最優先事項だったとでも言うんか!?」
「…だから、ここにいるんだけど?」
「その前に、勇利にメールなり電話なりする機会はいくらでもあったやろ。それとも…勇利。ヴィクトルから今日の事、連絡貰うてたんか?」
「う、うぅん…」
「せやろな。もしも来てたんなら、何よりも勇利はアンタとの事を優先させてる筈や。……昔からそやったし」
濁された語尾にヴィクトルが小首を傾げる前に、再度きつい眼光が向けられる。
「僕個人は、アンタがこの先どうなろうが知ったこっちゃないと思うてる。けどな、今のアンタの行動全てがスケーター勝生勇利の評価にも影響するいう事、あまりにも甘く考えてへんか?」
「……」
「何よりも僕が一番腹立つんは、単身来るならともかく半ば強制的にプリセツキーくんまで連れて来た事や。1人で来る度胸もない癖に、大人の身勝手に子供を巻き込むな!」
痛い所を突かれたのか、先程よりハッキリとヴィクトルの表情が歪んだ。
そんなヴィクトルに更に言葉をぶつけようとした純だったが、視界の端にこちらを呆然と見つめているユーリを捉えると、舌打ちをする。
「フランス語!」
「…判る」
憮然としたまま答えるヴィクトルに、純は深く息を1つ吐いた後で、フランス語に切り替えた。

「…カツ丼。あいつ、どんだけマルチリンガルなんだ?」
「純は、語学の天才なんだ。会話だけなら暫く聞いてる内に理解できるみたい」
その後、寛子が呼びに来るまで不毛な舌戦は続いていた。
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