第10章 9章 新たな姿
落ち着いたのもつかの間。
桐崎さんが「それで岬ちゃん、好きな人ってどんな人?」
と聞いてきた。
苗字にちゃんをつけてくる人は初めてだ。
私は恥ずかしかったので「教えませんよ」と答えた。
桐崎さんは「まぁ、そんな固いこといわないでさ。」
と粘ってくる。
すると梨雄が「女の子にそんなこと聞いちゃいけませんよ、桐崎さん」と若干冗談混じりで桐崎さんのことを少し注意した。
桐崎さんは「だって岬ちゃんかわいいんだもん。聞きたくなるじゃん?」と言う。
やはりこの人は少しだらしがない人のようだ。
そこにペコッと空のペットボトルで誠くんが桐崎さんのことを軽く叩いた。
「ナンパすんな、桐崎」とさらに追い撃ちをかけるように言う。
桐崎さんは「はいはい、バリアですね、セコムですね。大人しくチャラ男は下がりますよ」と言った。
少しユーモアがあるひとのようだ。
そしてさっき私がお断りしてから矢上さんの落ち込みがひどい。
断り方がまずかったかなと少し後悔していた。
そしてあっという間に文化祭も終了間近になっていた。
私は帰り際桐崎さんと矢上さんから連絡先をもらった。
「登録しといてねー」と桐崎さん。
「いつでも電話待ってる」と少し食い気味の矢上さん。
私はお礼をした。
そして私は文化祭をあとにした。
梨雄にメモを渡して。