第8章 7章 私の気持ち
しばらく誠くんの後をついていくと着いたのはとある展望台だった
そこは住宅街の中にあって図書館からは少し離れていた。
私たちはいつのまにか1時間ばかしあるいていたようで時刻は5時。
夏なので空は少し朱くなったかなと感じさせるもののまだ全然明るかった。
そこにたどり着いてから誠くんは
「ここさ、俺が引っ越したばっかのときに親父が連れてきてくれたんだ。」
そういった、それから続けるように誠は語り始めた。
「俺あの頃気分かなり沈んでてサッカーいつもしてた仲間とは別れるはめになるし、澪とは会えなくなるしさ。そんなときここに気分転換にって連れて来られて無意識であっちのお前の家とか俺が昔住んでたアパートとかの方角見ててさ。」
私は思わず「大変...だったんだね。」と返してしまった。
すると誠くんは私に微笑んで「けどさ、あの頃考えてたことってわりとちっぽけな悩みだったかもなって最近思うんだよ。よくよく考えてみろ、俺らの家って一様県内なわけじゃん?会おうと思えば会えるんだよ。それにお前にも梨雄のおかげで会えた。」
そういってくれて嬉しかった。
誠くんが引っ越すとき一番最後に見たのはすごく悲しそうな顔で。
本当は笑顔でお別れしたかったって思ってたから。
最後のお別れだって思ってたから。
再開できたことを誠くんも喜んでくれてた。
私の頬にはいつのまにか涙が伝っていて。
ひたすら見えないように涙を拭った。
それでも伝う涙。
けれど誠くんは気づいていて顔を背けながら私にハンカチを渡した。
「人に泣き顔見られるなんて嫌だろ。それでふけよ。」
そのさりげない優しさが嬉しかった。
私はお礼を言うと涙をハンカチで拭った。
そしてしばらく沈黙が続いて誠くんは「それで本題なんだけどさ」と話を再び始めた。