第16章 15章 少しのさよなら
梨雄Side
朝から澪に連絡がつかない。
朝、電車にいなかったことから学校についてからすぐに連絡した。
「朝電車にいなかったけど何かあった?」
そう送ったが既読だけつき、返信も何もかえってこない。
嫌な予感しかしない。
もう夜の11時、人によれば夜中という時刻になるだろう。
俺は恐る恐る、澪に震える手を押さえながら電話をかけた。
5コールくらいしただろうか。
あきらめて切ろうとした時、大好きな彼女の声で「もしもし」ときこえた。
俺は「もしもし、俺だけど。」そういうと何か心当たりがあるような声で
「どうしたの」という。
俺はすぐに「今から会えないか」といった。
こんな時間なのはわかってるし、わがままなのもわかってる。
けど会える間にあっておきたい。
その気持ちを押さえられなかった。
すると澪は少しためらいながらも俺にこういった。
「ごめんなさい。今空港。」
おそらく俺が一番聞きたくなかった内容だろう。
俺は「今から留学先行くのか。」と冷静な声で言った。
彼女は「言えなくてごめんなさい。向こうに発つと決まったのがつい一週間くらい前の話なの。言いたかったけど言えなくて。」そう少し涙声で言う。
「フライト、何時だ。」ただ率直にそれだけ聞いた。
「12時。」そう彼女はいう。
自宅からなら、バイクで20分かかるかかからないかだろう。
俺は「待ってろ。今からいくから。」そういって携帯、財布、鍵を持って家を飛び出した。