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いつもの電車

第16章 15章 少しのさよなら


彼から電話がかかってから30分程たった。


もう飛行機に乗らないといけない。



彼は私に待ってろといったがもう待てるのも残りわずか。




すると「12時、アメリカ行の飛行機にお乗りのお客様は....」とアナウンスがなる。



私は少し足取りを重くするも、もう時間だからと思い重いトランクをがらがらと引き、歩きだそうとしたその時だった。



「澪!!!」


後ろから梨雄の声が聞こえる。




振り返るとそこにはまだ冬なのに汗だくになって息が切れている彼がいた。



私は彼に駆け寄ると思わず抱き着いた。




「ごめん、何も言わなくて。」


私は真っ先にその言葉を彼にかけた。


すると梨雄は「俺がお前に気を使わせたんだよな。悪かった。今日は泣いたりしないよ。笑顔で見送る。」そういった。




それだけでかなり心強くて嬉しかった。すぐそこに彼はいるのにそれでも恋しくなる。




するとみかねた梨雄は「飛行機、乗らなくていいのか」という。




なので私は「キス、してからじゃダメかな。」といった。




私の中では精一杯の一言だった。



彼は私のわがままにも無言で答えてくれた。




軽く口づけをすると梨雄は涙一つ見せず、

「待ってる。だから、帰ってきたらたくさん話聞かせてくれ。寂しかったら連絡して。いつでも相手するから。.....いってらっしゃい。」


そういう。




私は「ありがとう、いってきます。」その一言だけいって後ろを振り向かず、乗客口へと歩いた。
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