第5章 5
『…ねぇ、先生。例えばの話なんだけど。元彼がいて、その人と久しぶりに会ったとして。女の子の方ではもう恋人という関係は終わってて。けど元彼がもう一度付き合わなければ周りの皆を傷つけるって脅して…その女の子は友達が大好きで、傷つけたくなくて。けど自分の気持ちに嘘はつきたくないって思ってて。その女の子はどうしたらいいと思う?』
朱音は言わなかったけど、多分これは朱音自身の話だ
過去に何があったかは知らねェ
けど何か起こってるんだ
「…その女の子は女の子の思うがままに進めばいいんじゃねェか?周りのダチだって絶対その子のことが大切なんだ。本当のダチってのは…本当の仲間ってのは一方が護るだけじゃなくて、互いに背を預けて護り合うモンだ。仲間が信じた道ならば、それを支え合うモンなんだよ」
朱音の頭をポンポンと撫でる
すると朱音は小さく頷いた
その日は一緒に寝た
もちろん変な意味はなく、朱音の部屋で床に布団を敷いて
朱音の昔の事は話してくれなかったが、何か吹っ切れたようにも見えた
→