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第4章 4



「私もパピーも必死で兄貴を止めたヨ。けど無駄だったネ。私のパピー、めっさ強いアル。そんなパピーに兄貴は喧嘩吹っ掛けたネ。パピーも本能に負けて兄貴と闘ったアル。兄貴は怪我を負ったままそれっきり家には帰って来なくなったアル」

神楽にはあたしと同じで母親がいない

誰にも頼ることが出来なかった神楽

あたしはまだ出会っていなかったとは言え、親友が苦しんでいる時に何も出来なかったことが悔しかった

「それでも最近になって、兄貴が帰ってきたアル。それも大人しくなって。私もパピーも兄貴が変わってくれたと思って喜んでいたアル。兄貴に聞けば、最愛の恋人に再開出来たから戻ってきたって言ってたけど、私達にとっては帰ってきてくれたこと自体が嬉しかったアル」

『お兄さん、本当にその恋人のことが好きだったんだね。そういうの素敵』

私がそう言うと、"そこは兄貴の自慢出来る唯一のとこネ"と嬉しそうに言った

「けどそれが最近になってまた変わってしまったアル。昔の喧嘩仲間とまた会ったり、家に帰ることも減ってしまったネ。私、兄貴には護るべき人が必要だと思うアル。兄貴には幸せになってほしいアル…!」

神楽は話終わると涙を我慢しているように見えた

『大丈夫。きっとお兄さんは帰ってくる。ちゃんと神楽の元に帰ってくるよ。お兄さんもその恋人に自分の気持ちを伝えれば、きっと上手くいくよ。そんなに愛されてるって知ったら、きっとお兄さんの隣で歩いてくれる』

「…朱音っ!」

神楽はあたしに抱きついてきた




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