第4章 4
総悟は通話ボタンを押すのを躊躇っていた
あたしそんな総悟の手をギュッとにぎる
大丈夫
そう心の中で伝えた
総悟は頷くと、通話ボタンを押した
「もしもし」
ー「あ、サド?お前今日どうしたアルか?」
「…何でもありやせん」
―「?じゃああのとき、私に何を言おうと思ってたアルか?」
「…バカって言おうとしてたんでィ」
―「何をゥ!?喧嘩売ってるアルか!?明日覚えとくヨロシ!私がボコボコにしてやるネ!」
神楽の声は大きい
あたしにまで内容は駄々漏れだった
そして総悟がフッと笑う
「ボコボコされるのはテメーでさァ。…チャイナ」
―「…何アルか?」
「…サンキューな」
―「…私は何もしてないネ、じゃあナ」
総悟は電話を切る
あたしは何も心配する必要は無かったみたいだ
もう二人はお互いのことをきちんと理解している
「ありがとな、朱音。俺、頑張りまさァ」
『あたしは何もしてないよ!』
「…俺が朱音に言った言葉、嘘じゃありやせん 。俺は朱音と出会えて良かった。じゃあな」
総悟の言葉が嬉しかった
それから総悟は帰っていった
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