第3章 3
そして放課後
「朱音!帰るヨロシ!」
『あ、ごめん神楽。あたし今日総悟と用事が…』
「悪ィな、チャイナ。朱音は借りてくぜ」
「なら仕方ないネ。サド、ちょっと来るアル」
何故か俺だけを呼ぶチャイナ
正直少し…いや、かなり嬉しい
「なっ、なんでィ」
動揺を必死に隠そうと強気に出る
「サドがいつの間に朱音を好きになったかは知らないネ。けど朱音を泣かしたら許さないアル」
そう言ってチャイナはニッと笑う
…待てよ
俺が朱音を…?
確かに好きだけど、それはあくまで友達として
俺が本当に好きなのは…
「…俺がいつ好きだって言ったんでィ」
「サド?」
「俺がいつそんなことを言ったんだって聞いてるんだ!」
気付けば大声を張り上げていた
放課後となったのはついさっきのことだから、まだまだ教室にはたくさんの人で溢れていた
「どうしたアルか…?」
周りの視線が痛い
チャイナの気遣うような視線が…痛い
「っ…なんでもないでさァ」
俺は逃げるようにチャイナから離れ、教室を後にした
『えっ!?総悟!?』
俺のチャイナへの気持ちを知っている朱音は、さっきの喧嘩を心配してか、それとも今日の約束のためか、どちらにしても俺を追って来てくれた
何となく一人になりたくなかった俺の心は酷く安心した
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