第2章 2
葉side
朱音がなかなか帰ってこない
いくら電話しても繋がらない
いつも帰ってくる時間はとうに過ぎている
探しに行こうと思って玄関に行くと、隣の朱音の家の鍵を開ける音が聞こえた
慌てて扉を開けると
今にも泣きだしそうな朱音がいた
「…朱音?どうした?」
『!?…葉、か。ごめんね、遅くなって。今からご飯作るから待ってて…』
「朱音!」
引き留めて真っ直ぐに朱音を見る
やはりそこには涙は無くて
代わりに張り付いた笑顔があった
『どうしたの、葉?あ、お腹すいてるんだ?じゃあ今日は簡単なもので…キャッ!?』
俺はその笑顔が見たくなくて腕を引っ張って俺の部屋へと連れて行こうとする
『いや…嫌!離して!やだ!』
あまりのことにびっくりして手を離してしまった
「あ、悪い…朱音?」
『あ、ごめ…何でもない』
「…何かあったか?」
朱音は一瞬影を作ったが、すぐに笑顔に戻った
『ごめん、葉。本当に何もないから。ほら、あたしの部屋に行こう?今日は遅いから葉にも手伝ってもらうよー?』
「あ、ああ…」
俺の前を歩く朱音は無理をしているように見えた
それにさっきの行動…
何かあったに違いないが、今は無理に聞き出すことじゃない
そう思った
だから俺は
朱音の傍に居続けた
それで朱音を安心させたかった
朱音は一人じゃないって思わせたかった
いつでも俺を頼りにしてほしかった
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