第2章 2
「!…なんでテメーがここにいるんだ」
驚いた
あれだけ冷たい態度をとった俺の元へまだこいつは来てくれた
『ご、ごめん。気付いたら晋助の家の前にいて…特に用があるわけじゃないの!ごめんね!じゃあ…』
必死に謝る朱音の顔が
ここ最近では見ることが少なくなっていた
あの泣きそうなのに笑う
切ない表情だった
『!?晋助?』
気が付けば俺は朱音の腕を引っ張り自分の胸に抱いていた
「悪ィ。今だけはこうさせてくれ…」
『…うん。ありがとう』
久しぶりに朱音の存在を感じた
ひどく心地がいいもので安心できた
ふと朱音の手が俺の背中にまわされる
ここで俺は現実に戻る
だめだ
朱音を引きはがすとびっくりしていた
「…帰れ。そして二度と俺に近づくな」
『…?晋助?』
俺は朱音を直視できなくなり、踵を返す
「迷惑なんだよ。あとな、俺は以前お前のことが好きだって言ったが、あれはもう無しだ。もうお前と関わりたくもない」
悪ィ、朱音
本当はお前のことは独占したいほど好きだ
でも今は
今の俺じゃお前を危険にさらしてしまう
ここまで言えばさすがに堪えるだろう
ガチャっと扉を開ける音が聞こえ、気配が完璧に消えたのを感じた
「…クソッ!」
壁を一発殴る
突き放すことしかできない自分が嫌になる
でもこうまでしないと朱音も…
先生も護れないんだ
→