第2章 2
『あたしは神威とは別れたはずよ。もう恋人でも何でもない』
「俺は納得なんてしていない。勝手に話を進めたのは朱音だろ?」
『ふざけないで。あれだけあたしからいろいろなモノを奪っておいてよく彼氏だって言えるわね』
「奪った?俺が?俺は朱音の為を思ってやったんだヨ?」
あたしの為?
何を言ってるの?
『…神威と話してると疲れる。もう帰ってよ』
「つれないなァ。ま、そんなとこも可愛いんだけどね」
あたしは神威をキッと睨む
「そう怖い顔しないでヨ。俺もそんなに暇じゃなくてね。これから俺にも用があるんだ。今日は挨拶がてらに、ね」
神威がニコニコ笑っている眼を開けたと気付いた時には、もう神威の顔は目の前にあった
「ねぇ朱音。もう一度俺のモノになってよ。身も心も俺だけのモノに」
『…なるわけないでしょ』
「そう言われると思ったヨ。だけど今のうちだ。次期にそんなセリフは言えなくなるヨ」
全身に悪寒が走っていくのを感じた
だけどここで逃げたらまた繰り返してしまう
『今度あたしの周りに手を出してみなさい。タダじゃ済まさないから』
「へェ。本気の朱音と殺り合うのもおもしろそうだなァ」
『神威。あたしは本気よ』
出来る限りの殺気をだして神威に対抗する
すると神威は心底嬉しそうに笑う
「だったら護ってみれば?朱音にそれが出来るんなら、だけどね」
"じゃーねー"と高らかに言い、この場を去って行った神威
やがて姿が見えなくなるとあたしの足から力が抜けていき、その場に座り込んだ
恐かった…
まさか神威にまた会うなんて…
あたしはその場に座り込み、暫くすると導かれるように足が勝手に動き出したのを感じた
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