第1章 誠凛高校男子バスケットボール部マネージャー、帰国
「朝からいい事すると気分がいいね。」
「あのよ、遥香センパイ。毎回自分が危ねえ事してるって自覚あんのかよ?です。」
「え?私なんかしたっけ?」
その言葉に大我は溜息をついた。
「溜息つくと幸せ逃げちゃうよ?」
「誰のせいだと思ってんだよ…。」
「あ、どうしたの?ボール引っかかっちゃった?」
木の上に引っかかったボールを取ろうとする男の子に声を掛け、そのボールを取る為に木に登ろうとしたが大我に止められた。そして大我はジャンプをしただけでそのボールを取ってしまった。男の子はありがとうとお礼を言って去っていった。
軽々と人助けをしてみせた大我を褒めようと大我の方へ駆け寄ろうとしたら、自分の足に引っかかり、体が傾いた。
「わっ!」
倒れると思ったのに、大我が私を支えてくれた。倒れそうになった人間を咄嗟に支えるなんて、やろうと思っても出来るもんじゃない。凄い反射神経だ。
「ありがとう、大我。」
「なんでアンタはいうもそうそそっかしいんだよ。」
「え?」
「頼むから俺の目の届く範囲にいてくれ!…です。」
「え?なんで?」
大我はまた大きな溜息をついた。