第1章 誠凛高校男子バスケットボール部マネージャー、帰国
「おばあちゃん大丈夫?重そうだし、私持つよ。」
「すまないねえ。」
部活に向かう途中、重たそうな荷物を抱え、階段を登るおばあちゃんを見かけ、そう声を掛けた。
「はい、おばあちゃん乗って。」
おばあちゃんの前に屈むと、おばあちゃんは戸惑っていた。こんな急な階段、おばあちゃん自身登るのも辛いだろうし。
「私これでもバスケ部で鍛えてるから遠慮はいらないよ。」
まあ、マネージャーだけど。鍛えてるという言葉に安心したのか、おばあちゃんは私の背中へ乗ってくれた。そして、立ち上がり荷物を持った。が、想像以上に重たくて、足元がふらついた。
「…何やってんすか?」
「あ、大我おはよう。」
おばあちゃんを背に乗せた私を怪訝そうな表情で見つめる大我。
「…全く、アンタはいつもそれだ。婆さん、その人すぐ危なっかしいことするから、俺の背中に乗れよ。です。」
そう言っておばあちゃんを軽々と背負い、重たい荷物をひょいと担いだ大我は軽い足取りで階段を登って行った。
「流石男の子!」
おばあちゃんは階段を登りおえると大我の背中をおり、深々と頭を下げ、御礼だと言って和菓子をくれ去っていった。