第5章 恋煩い
「取り敢えず今日練習終わったら一緒に病院行こうな?」
「…うん。」
「何二人して深刻そうな顔してんだよ?」
「あ、順平、リコちゃんおはよう。」
そうだ。これからの事を考えて、予め二人には話しておいた方がいいかもしれない。もし病気が見つかって入院にでもなれば二人に迷惑を掛けてしまう。
「あのね、…私病気かもしれないの。」
「は?え、病気って…そんな重病なんすか!?」
「…まだ病院行ってないから分からないけど、多分そうだと思う。自分の体だもん。…分かるよ。」
「どうあるんですか?」
鉄平に話したのと同じように、大我といるとドキドキするとか、胸が苦しくなるとか、ありのままの症状を話した。
それを話し終えると、順平とリコちゃんは深い溜息を漏らした。
「大事な時期に本当にごめんね。頼りない先輩でごめんなさい。」
「…本気で言ってんすか?」
「え?…うん、そうだけど?」
「…それってどう考えても病気じゃなくて…あー、強いて言うなら恋煩い?」
「恋煩い?」
「火神くんといるとドキドキするのも、胸が苦しくなるのも火神くんの事好きだからでしょう?」
「…そんな、まさか…!」
「誰が見たってそうだっての分かってたってのに、当の本人が気付いてなかったとはなあ。」
「え?そうだったのか?俺、全然分からなかったぞ。日向とリコは凄いな。」
「まあお前は気付いてないと思ったよ!」
言われてみればそうだ。大我と一緒にいてドキドキするのも胸が苦しくなるのも、先日のアダルト雑誌が大我のじゃなくてホッとしたのも。