第4章 不覚にもドキドキした
「大丈夫ですか?なんか凄い音しましたけ…ど。」
心配して見に来てくれたテツヤと視線が交わる。
「火神くん、部活中に何やってるんですか?部活中に先輩に手を出すなんて信じられません。」
「ち、ちげーよ!」
「違うよテツヤ!これはね…!」
テツヤから見たら、大我が私を押し倒してるように見えただろう。踵を返しその場を去るテツヤを追いかける為に大我は慌ててテツヤを追い掛けた。同じく私も誤解を解くべく、大我と同じくテツヤの後を追おうと走り出したが、慌て過ぎた為、足元を滑らせ、全身を地面に叩きつけるような形で転倒。
「ちょ…!何やってんだよ!?ですか!」
テツヤを追い掛けて行った筈の大我は私が転倒した事に気付き、戻って来てくれた。
「いったー。」
「鼻血出てんじゃねーか!です。」
「嘘!?」
鼻に手を当てると、手が真っ赤に染まった。…ホントだ。鼻血出てる。大我は自身の洋服で私の鼻血を拭いてくれた。
「ちょ、汚れちゃうよ!?」
「洗えば取れるだろ。です。」
捲し上げられた洋服の隙間から、鍛えられた肉体が露わになる。男の子の裸なんて、見慣れてる筈なのに、何故か大我の裸を見てドキドキしてしまった。
「…ったく、俺を困らせたいとしか思えないんすけど。」
全くそんなつもりは無いんだけど、ここまで大我に迷惑を掛けっぱなしじゃあ、返す言葉も見つからない。
「…I'm sorry.(ごめんなさい。)」
「I don't want you to apologize.(別に謝って欲しい訳じゃねーよ。)」
そう言って優しい笑みを浮かべる大我にドキドキしてしまった。最近大我といるとドキドキしてしまうのはどうしてだろうか。変な病気にでも掛かってしまったのだろうか。