第4章 不覚にもドキドキした
「…ねえ、大我。それ位一人で出来るって。マネージャーの仕事ばっかり手伝ってたらリコちゃんに怒られちゃうよ?」
洗濯を干そうとしていたのに、それを大我に奪われ、大我が干している。私の仕事なのに。
「アンタから目離したら何かやらかしそうで怖いんだよ。です。」
「ちょっと大我!やらかしそうってどういう意味よ!?」
洗濯を干す大我の洋服をグイッと引っ張ると、体制が悪かったのか、大我の踏ん張り方が悪かったか、私の体重が重かったのか、大我が私の方に倒れてきた。
「危ね…っ!」
「うわあ!」
ドンと言う激しい音がしたが痛くはない。目を開ければ目の前に大我の顔。思いの外近過ぎるその距離に思わず顔が赤くなる。
「大丈夫か!?です。」
「だ…大丈夫だけど、」
咄嗟に大我が私の頭を庇ってくれたおかげで頭部を強打せずに済んだ。けど、そのせいで距離が近い…!可愛い後輩達にキスするのだっていつもの事だし、この位の距離なんて照れる事じゃないのに、何故か大我とのこの距離は非常に恥ずかしい。