第4章 不覚にもドキドキした
「色々と御迷惑をお掛けしました。」
捻挫も漸く完治し、すっかり元通り。部員達に深々と頭を下げ、迷惑を掛けたお詫びと称し、黒飴を差し出したが、鉄平を除く二年生に断られてしまった。受け取ってくれたのは鉄平と一年生だけ。留年して同級生になってから、二年生の態度がやけに冷たい気がする。まあ、気にしないけどね!
「大我、今まで沢山手伝ってくれてありがとね。これからはどんどん私を頼ってね!」
捻挫中、特に御世話になった大我にそう言ったが、あんまり張り切られると逆に心配なんすけど、なんて言われた。二年生もそうだけど、大我も割と私に対する扱い酷いよね。まあ、ここはビシッと仕事をこなして、出来る女をアピールしておかないと、一年生にカッコ悪い所ばかり見られてる。
「高い所登るのはもう勘弁してくれよ。です。」
「あのね、私だって毎回高い所から落ちてる訳じゃないんだから。大我は心配症だなあ。」
「…いや、落ちてるだろ。です。」
まあ、確かに、帰国してからそんな事ばかりな気もするけど…厄年なのだろうか。
「まあ、もう大丈夫だから。」
「遥香さんの大丈夫は当てになんねえよ。」
「ちょっと順平聞こえてるから!」
まあ何はともあれ怪我は完治した訳で、いつも気にして庇っていた足が自由に動くのは喜ばしい事。洗濯や掃除もひょひょいと出来ちゃうし、五体満足とは実に素晴らしい。