第3章 おかしいかもしれない
先日の怪我は幸いにも軽い捻挫てで済んだが、まあ、捻挫といっても痛いわ痛い。骨折じゃなくて済んだのだからそれは不幸中の幸いであった。折角骨折治ったのにまた日本に戻ってからも骨折なんて笑えないもんね。そんな私を気遣って後輩達がマネージャー業をよく手伝ってくれた。特に大我。レギュラーでもある大我にマネージャー業を手伝ってもらうのは気が引けたが、流石我が誠凛期待の星、力仕事なんて朝飯前。私が一人でやるよりも仕事が早い。まあ、私がアメリカに行ってる間は一年生が交代で雑務をこなしてくれてたみたいだし、私が普段やってた雑務なんて慣れっこだったのかもしれない。
「いやあ、ホント一年生頼りになるわ。」
「だろう。」
「遥香さんよりは頼りになりますね。」
「ちょっと順平、今のは聞きづてならん!」
順平に掴みかかろうと勢いよく立ち上がると、足を捻挫してるのをすっかり忘れ、バランスを崩した。近くにいた鉄平が手を伸ばしたが、それよりも先に大我が私を後ろから抱き留める方が早かった。
「おお相変わらずナイス反射神経!」
「コイツそそっかしいからな、助かるよ火神。」
「そそっかしくない!」
「マネージャーの仕事なら俺がやるんで、遥香センパイは座ってろ。ください。」
「捻挫って言っても大したことないし大丈夫だよ。大我は心配性だな、もう。」
「いや、アンタが動くと余計疲れるから。です。」
「ちょっと、それが先輩に対する態度か!」
そうは言ったものの、本当に大我はよく手伝ってくれて、正直私より手際がいいし、私必要ないんじゃない?なんて思うこともしばしば。
「あ、えっと、いや、そうじゃなくって、俺に出来ることがあるなら俺を頼って欲しいっていうか、その、まあ、そういう事だ!です。」
その大我の言葉に意味ありげに笑う順平。
「ちょっと順平!私が役立たずって言われてるのがそんなに可笑しいのか!」