第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
「そういえばどうしたの?今日は?」
麗亞の問いに自分の用を思い出した政宗。
政「あぁ、今日は信長様と家康、三成がいないだろう?だから、残りの皆で例の部屋で打ち合わせと、特製料理の試食を昼餉にしようと思って。また昼になったら呼びに来るが。」
「本当?わぁ、楽しみ~政宗の料理ほんっと美味しいんだモン!いち早く味見できるとか最高!」
一気に破顔した麗亞に政宗の胸がトクリと鳴った。
(全くいい顔しやがるぜ、このままさらって行きたくなる。まぁ、俺の料理を食べた時にもっといい顔させてやるが・・・。)
政「相変わらず食いしん坊だなお前は。でも、嫌いじゃないぜそういうの。飯を美味しそうに食べる女は好きだ。」
「食いしん坊とか~ひどいなぁ・・。」
むぅっと口を尖らせてぷりぷりとする顔になるも、政宗には麗亞の可愛い仕草の一つでしかない。
「あ、でも、もう少しこの羽織縫ってからいくね、今日で大まかな所やっておきたいから。」
政「あぁ、でもまた指刺したりするなよ?。じゃ昼にな。」
そうしておもむろに麗亞の頬に口づけを落とし逃げるように部屋を出る。
「あっっっ・・・・ま、政宗っ・・///」
余りの速さに一瞬何が起きたか分からなかった麗亞だったが、頬に残る感触で何をされたかを自覚する。そして抗議の声を出そうとした瞬間にさらりと逃げた政宗は、襖を閉めて行ったのだった。
「もうっ・・・逃げ足が速いんだから。油断も隙も無いっ・・」
頬に残る熱を冷ますように手のひらでパタパタと仰ぐのだった。
*****
政宗が麗亞の部屋が出て来て廊下を歩いていると、曲がり角に佇む光秀と出くわす。
光「油断も隙もないな、相変わらず。鬼の居ぬ間になんとやら・・か?」
ニヤリと冷やかすように笑みを浮かべる光秀。そんな光秀に政宗も負けじと応戦する。
政「お前こそ、意地悪ばかりしていると、本当に嫌われるぞ。たまには本心で麗亞と向き合えよ。お前本当は・・・」
最後迄言う前に光秀に肩を掴まれ制される。
光「あれは、俺には勿体ない女だ。こんな後ろ暗い男が求めていい女じゃない。それに可愛がるより意地悪する方が俺の性に合ってるからな。」
本心が見えぬ笑みを浮かべ光秀は政宗を通りすぎ、廊下の先へと消えて行った。