第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
そんな光秀の背中を見送りつつ政宗はぽつりと呟いた。
政「格好つけやがって・・・あの余裕もいつまで続くかな。」
そして政宗は昼餉の支度に台所へと向かうのだった。
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その日の昼餉
光秀・秀吉・麗亞と例の部屋で待っていた所、政宗が料理を運んできた。
政「待たせたな。今回は自信作の数点を持ってきた皆で味見してくれ。」
そう言って大皿に盛りつけられた見事な魚料理やまるで京の料亭の一室で食べるような上品な煮物。そして色とりどりの甘味等次々に出てきた。
「うわぁぁ~凄い~これ食べちゃっていいの?」
涎でもこぼれそうな麗亞の顔を皆微笑ましく見守る。
秀「急いで食べるんじゃないぞ?喉に詰まったら困る。落ち着いてだなゆっくり噛んで・・・」
秀吉の事細かな説明が始まるや否や、光秀はご飯の上に、その煮物や焼き魚、煮魚、甘味などをどんどん載せて一気に食べようとする。
政「おいおい、光秀~その食べ方はないだろう?一品ずつ食べないと味がわからないじゃないか?」
光秀「腹に入れば皆同じ事だ。」
そう言って平然とした顔で口に運んでいく。
政「お前に料理の批評を頼んだ俺の采配ミスだなこれは・・・。」
政宗は指をこめかみにあてて、苦渋の表情になった。
秀吉「で、一口に最低でも15回以上は噛んでだな。・・・」
延々と続く秀吉の話を無視して政宗が麗亞の口の中に甘味の一つを口にもって来る。思わず麗亞も条件反射で口を開けてしまい、もぐもぐと、小動物のように口を動かした。
「んぅぅっ!!美味しい~政宗ぇ♪これゴマ団子?なかの餡があまり甘くなくてでも味がちゃんとしてて美味しい~。」
そのふにゃふにゃした笑顔に皆が一瞬見惚れてかたまってしまった。
「あ、あれ? 私なんか変な事言った?」
急に静かになった皆に不安を覚え、少し焦る。
秀「あ、いや、そんなに美味いか?さて、味見と行くか。」
ハッとした秀吉は、気を取り直して箸を取り並べられた料理を皿によそって食べ始める。
皆、その料理の美味さを堪能しつつ、なんだかムズムズした空気にいたたまれない気持ちになった三人の男達だった。
「ごちそうさま、もう食べられないよぉ~政宗」
政「喜んでもらえて良かったよ、これで料理は大丈夫だな。」
そうして、ひと時の豪華な昼餉は終了した。