第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
---5月2日信長様のお誕生日まで残り10日---
麗亞は昨日購入した反物で、信長への羽織を制作していた。今日は朝から信長と家康、三成で自分の傘下の国に視察に行くと早朝よりでかけたので、堂々と朝からできるのである。
「はぁ、間に合うかなぁ・・。でも間に合わせなきゃ。せっかくこんないい生地が手に入ったんだから。でもきっと似合うだろうなぁ・・。」
その羽織を来た信長の姿を想像するだけで顔がニヤニヤしてしまう麗亞。ウキウキしながら裁断した生地を縫っていく。
政「おい、いるかー?」
急に襖をあけられてびっくりしたのか、思わず針で指をさしてしまう。
「あ、っ痛っつ・・・、ま、政宗!? びっくりしたよぉ~」
政「おっと悪い。だいじょぅぶか?」
見ると指に赤い点がにじんでいる。その手を思わず取り。それをチュッと舐めとる。
目の前でさりげない政宗の行動と、その艶っぽさになんかドキリと胸が鳴ったが、冷静に考えると、頭の中がぶわっとなった。
「ま、政宗っ何してるのっ・・だめっ・・・///」
悪戯を咎められた子供のようにペロリと舌を出して麗亞に笑いかける。
政「わりぃ。つい、身体が反応しちまった。でも、これくらいなら、舐めときゃ治る。」
おずおずと、取られた手を引っ込め、心臓の音を意識しつつも、抗議の目を向ける。
政宗は麗亞の手元にある、生地を見ると
政「お、それもしかして信長様への贈り物か?」
「あ、うん・・。昨日市で素敵な反物を手に入れて。」
その反物の残りを手に取りまじまじと眺める。
政「へぇ・・・良い柄と色だな、信長様に似合いそうだ。」
「でしょ?もう一瞬でそう思って。」
一生懸命信長の話を熱っぽく話す麗亞を政宗は少し胸のあたりがモヤモヤする想いで聞いていた。
政「なんか妬けるな。」
ぽつりと無意識に小声でつぶやく。
「え?何?」
政「あ、いや、楽しそうに話すなぁとおもってさ。」
「そりゃぁ、信長様の贈り物だから、喜んでもらいたいし。人に喜ばれた時のあの気持ちは考えるだけでも本当に嬉しいの。」
見事な華が咲いたような笑顔を見ながら政宗は、今まで味わったことのないこの気持ちに自分で蓋をするのだった。