第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
信玄はなにやら思案した後、麗亞に
玄「では、これからの君の時間を私に売ってくれないか?それがその足りない分の金子が報酬という事で。」
「でも・・・何をすれば・・・如何わしい事なんかできませんよ?」
信玄の提案にちょっと胸騒ぎを覚えた麗亞は、一応断りを入れる。
幸「お館様、俺の前で堂々と人身売買ですか?佐助にいいつけてまきびし貰って来ましょうか?」
玄「おいおい、誤解するな幸、女を買うならもっと違う所で買うさ。私は姫と午後のひとときを穏やかに過ごしたいという事で提案しているのさ。」
半信半疑の目を向けつつ麗亞は念を押す
「一緒に過ごすだけなら・・・でも本当にそれだけでいいんですか?」
疑いの眼差しを向けられつつも、少し何だか照れたような顔に信玄はフッと笑みをこぼす。
(そんな顔もするのだな、姫は。理性が保たれるか心配だが、姫とのひと時に比べたら安い物ではないか)
玄「あぁ、安心してくれていい。それに今日はお目付け役の幸もいるから、そんなことができようものか。」
そういうと、自分の分の金平糖と、そして麗亞の分の金平糖の足りない金額の代金を支払った。麗亞も慌てて残りの代金を露店商に支払いその店を後にした。
「ところでこれからどこに行くのですか?」
玄「そうだな…。もう昼時だから美味い物を食べに行こう。姫のお勧めのお店はあるかい?紹介して欲しいなぁ。案内してくれるお礼にご馳走させてほしい。」
その信玄の提案に戸惑う麗亞
「え、でも、さっき金平糖の代金も支払っていただいてその上ご馳走されても・・・」
玄「これは私が君に案内してくれと頼んでいるのでそれに対する報酬だと思ってくれ。深く考えなくていい。」
幸「お館様もそう言ってんだから、甘えとけ、それより俺腹減ってしょうがねぇ~、早く案内してくれよ。」
幸村にも急かされたので麗亞は馴染みの食事処に案内した。
玄「ほう、ここは甘味もあるのだな。」
「ここの草餅はとっても美味しいんですよ、食後のデザートにはぴったり。」
玄「『でざーと?』」
「えっと、おやつ?箸休め?って意味です」
玄「じゃ、食事の後にその草餅とやらを『でざーと』に頂くとするか。」
そうして、奇妙な取り合わせの三人の何気ない一日が穏やかに過ぎて行った。