第6章 Happy birthday! ~絶対体絶命編~
静「そのつもりで、動いていました。こんな女の何処がいいのかって・・・能天気で、何の危機感も無くて、とりえもなさそうで、色気も無いし・・・。でも・・」
長「でも?」
自分の着物の裾をギュッと握りしめ麗亞を見た。
静「でも・・一緒に居るとなんか温かくて。・・・自分途中、何やってんだろう・・・って。」
ずっと静の心の中にあった違和感が一気に何だったのか、流れ込んできた。麗亞と一緒に居た時の楽しさや、麗亞の無邪気な澄んだ心が事あるごとに静の心をざわつかせイラつかせた。
静「悔しかった・・・皆男共は、あの子の事ばかり。どうして私なんかより・・・って・・。でも今思えば、到底敵いっこないこんな人私には・・・」
長「お取り潰しの覚悟はできているという事か・・・。」
その言葉を聞いて静は
静「それだけは許してください! 私が勝手にしたことで父にはなんの責も有りません。玩具にだってなんだってなります。一生牢屋の中でも構いません!なのでお取り潰しだけは許してください。」
父「静・・・・。いいえ!!! こんな娘に育てた私の監督不行き届き、咎は私にあります。なのでこの娘だけは助けてください。」
土下座をする二人を見て麗亞は堪らなくなり信長に懇願する。
「お願いします!!! 許してあげてください。セイ・・・静さんも危ない目にあったんです。なのでとても怖い思いをして・・・。それに・・・楽しかったんです。同じ年の子の友達が今までいなかったから・・・。」
必死にお願いする麗亞の顔を見て、信長は小さくため息をつく。
長「命拾いしたな・・・お前達。早々に安土から立ち去れ。暫くは城で大人しくしている事だ。もう二度と私に顔を見せるでない。そして謀反することも許さぬ、今度何かあれば即刻攻め滅ぼす。いいな?」
父・静「はいっ・・・・。」
そういうと二人はそそくさと広間から立ち去った。外に出ると廊下で二人は光秀と出会う。
静「あ・・・お前は・・・。」
父「これはこれは光秀様。」
光「帰る準備が整っているようだ。早々に立ち猿が良い。」
静(光秀・・?まさかあの明智光秀?)
静「お前が近づけと言ったではないか!」
光「近づけと言っただけでそれ以外は何も・・・。」
ニヤリと笑う光秀に、食えない男だと悟った静だった。