第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
次の日麗亞は城下の市に出かけて行った。
(ううん・・・信長様は何を貰ったら喜ぶかなぁ・・。)
「茶器とかは多分秀吉さんでしょ、書物は三成君、政宗は料理でもてなして、光秀さんはお酒辺りを・・・」
1人でぶつぶつと呪文のように呟きながら露店をくまなく見て回る。するといつもの反物屋のおじさんが麗亞の顔を見て声をかけた。
店「やあ麗亞様、今日入った変わった色柄の反物が有りますよ。」
赤と黒の2色のグラデーションの生地に見事な菊花や鷹が錦糸で刺繍がしてある反物であった。
「わぁ・・・素敵。」
この柄なら、男女どちらの羽織も作れるかも。これで信長様に羽織を…。きっと似合うだろうな・・。
店「麗亞様ならごひいきにしていただいてますので少しお安く致しますよ。」
「本当? 有難うございます!」
反物を購入した麗亞は他にも何かいいものが無いかとあたりをキョロキョロと見回しながら市を散策していると。後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
?「やぁ、そこにいるのは見め麗しき姫ではないか?」
(こ、この軽薄な口説き文句は、もしや?!)
後ろをそろりと振り返るとそこには、艶のある大人の色気全開の信玄が立っていた。
玄「どうしたんだい?こんなところで君みたいな綺麗な姫がウロウロキョロキョロとして、気を付けないと、不埒な浪人に絡まれてしまうよ?」
「えぇ、もう軽薄な武将に絡まれていますけど。」
少し応戦するも、そんな嫌みには全く動じない信玄は麗亞の手をそっと取り、軽くその甲に口づけた。
玄「そんな、可愛い戯言を言う姫もまた素敵だ。」
「つっ・・・信玄さまっ・・・///」
慌てて手を引っ込めるとその後ろから不機嫌そうな声が聞こえた。
幸「まぁた、お館様は麗亞に絡んで、見てるこっちが恥しくなりますよ。」
ちらりとその後ろには幸村が仏頂面で信玄を睨め付ける。
幸「お前もなぁ、いっつも誰かに絡まれて、隙がありすぎるんだよ。イノシシ女のくせに男惑わすとか怖い怖い。」
「幸村こそ、その口の悪さなんとかしないと、イノシシ女もよけて通るわよ。」
嫌みたっぷりに言い返すと、幸村が眉を吊り上げた。
幸「俺は女はめんどくせーから嫌なんだよ。どんないい女でもな。」