第5章 Happy birthday! ~波乱の横恋慕編~
「開けてみてもいい?」
佐「どうぞ。気に入ってくれるか分からないけど・・・」
すぐさま、包みをそうっと開けてみると、中から綺麗な緑色の勾玉がついたストラップが出てきた。
「うわぁ~素敵。貰っていいの?」
佐「あぁ・・・。先日謙信様とこちらに来る途中の市で丁度翡翠の勾玉を手に入れたから、それで組紐で編んでストラップを作ってみたんだ。翡翠は五月の誕生石の一つだからね。本当はもっと沢山の石で作るといいんだけど、とても高価なものだからそんなに買えなかったんだけど・・・。」
「いいの!なんか凄く嬉しい。こんな素敵な品私なんかに勿体ない位。綺麗。佐助君ってやっぱり何でもできるんだね。器用なのかな。これ大事にするね♪」
見ると組紐で綺麗な花の形の模様がいくつも編んである。その勾玉のストラップをぎゅっと握りしめ、頬を染めて麗亞は佐助に微笑み言う。
「有難う・・・。」
その顔に胸の奥がなんだかキュゥンとした佐助が思う
佐(あ、今キュゥンってした・・・。比喩表現だと思ってたんだけど、本当になるんだ・・・)
また包みにストラップを包み直すと、持っていた巾着にそれをしまった。
佐「じゃ、俺はこれで、謙信様のお使いの途中なんだ。お酒が切れて買出しに来ていたんだ。」
「あ、そういえば謙信様来てるんだったよね、この前会ったよ。あの時には危ない所助けてもらって。いつも謙信様には迷惑おかけしてばかりいる・・・。」
佐「あ、いいんだ。君が無事でよかったよ。とにかく気を付けて。ここは現代のように安全じゃないからね。絶対に揉め事には首を突っ込んだりしちゃだめだよ。あと、城下から出ちゃ駄目だ。」
「うん、わかったよ。ありがとう。私ももうこれで用事終わったから帰る所なの。じゃ、またね佐助君も気を付けてね。」
ぺこりとお辞儀をして麗亞は手を振りながら歩いて行った。暫く歩いた時。ふと、狭い路地から手が出て来て麗亞の腕を掴んで引っ張り込んだ。
「きゃ・・・」
軽く悲鳴をあげたが、途中で口を塞がれる。
(やっ!!!?さっきも佐助君に気を付けてって言われてたのに早速!?)
「んっ、うんんっ。」
全身で逃れようと暴れたががっちり掴まれていてどうしようもない、そして逃れようとまた身じろぎした所で相手が声を発した。
幸「暴れるなよ、イノシシ女」