第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
「それでも…駄目・・・です・・・っ」
ギュッと目をつぶり謙信に縋りつく麗亞。それを見て浪人に向かって言い放つ。
謙「今すぐここで斬って捨てても構わぬが・・・この女が嫌だというから仕方がない今回は見逃してやる。命あるうちに、目の前から消えろ。だが・・・・。次に会った時は容赦はせぬぞ。」
そういうと。軽く刀を振ったかと思うと鞘に納めた。その瞬間。浪人の1人の髷がパラリと落ちてざんばら頭になった。それと同時に浪人たちに恐怖が襲い掛かる。
浪2「うわぁぁぁぁ!!!」
浪1「覚えてろーー!」
浪人三人組は逃げるようにその場を走り去った。
その後老店主は医者を呼んでもらい。見てもらうよう手配した。
そして麗亞は謙信に連れられ町はずれの河原に連れていかれる。無言で手を引かれて歩いていく謙信にただついて行くしかなく。麗亞は戸惑った。
「謙信様っ・・・何処にっ・・。」
ようやく立ち止まるとくるりと謙信は振り返り麗亞を引き寄せ抱きしめた。
「謙信・・・さまっ・・・」
謙「お前はどうして無茶をするのだ?あのまま私が行かなければ斬られていたのだぞ。」
その言葉に思い出したように、恐怖が足元から湧き上がる。そう、謙信の言う通りあのまま謙信が来なければ今はあの浪人に斬り殺されていただろう。そう思うと今更ながら足元がガクガクと震え出し力が抜けていくようだった。
「麗亞・・っ?」
急に力が抜けた麗亞を抱き留める。
「・・・・・ごめんな・・さい。」
やっとのことで麗亞が声を絞り出す。謙信は河原の土手の草むらに麗亞を座らせて落ち着かせた。
謙「お前が斬られそうになっているのを見た時、息が止まりそうだった。」
「謙信様・・・。っ・・つ・・」
目の前で苦しそうな顔をする謙信に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、目の奥から今更ながらに涙が溢れてきた。
謙「泣くな・・・・・。お前が泣くと私も苦しくなる。・・お前が本当に無事で良かった。」
零れ落ちる涙を指で掬い麗亞を優しく抱き寄せて落ち着くまで何も言わず謙信は頭を撫でてやった。その瞳は先ほどまでの冷たい瞳とは打って変わり、熱っぽく愛おしそうな優しい瞳であった。