第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
その様子を信玄と幸村、そして遅れて到着した佐助が遠くの木の陰から見ていた。
幸「あれ、邪魔したら怒るだろうな。」
佐「あぁ・・。確実に斬られると思う。何せ、途中で早駆けされてこの俺も見失ってしまった位だ。」
幸「だからお前遅れて来たのか。」
玄「もっと早くあの騒ぎを見つけていれば、姫に怖い思いをさせなかったんだが。それに謙信にも良いとこどりされなくて済んだのに。」
ちらりと信玄を見て幸村が言う。
幸「でも信玄様が助けても、後で謙信様と鉢合わせるとまたややこしい事になるから。これでよかったのかも。」
玄「さて、今日は久しぶりに謙信達と飲むことになるのかな。」
幸「ぜってー斬られそうになるって信玄様。麗亞のお誕生日の事知ってて言わなかったんだから。」
佐「そうですね…。春日山城で、『まさか信玄のやつ!?』と叫んでましたからね。」
それを聞いてギョッとする信玄。
玄「おいおい・・・勘弁してくれよ・・・。」
信玄は後ろ髪引かれつつも、その場を離れて滞在している旅籠へと向かった。
玄「行くぞー幸。見つかる前に退散だ~。」
そういうと幸村もその後に続いた。
幸「じゃ、またなー佐助~。」
そろそろ、夕暮れになってきたので佐助は謙信と麗亞の居る場所に行くと謙信に告げた
佐「謙信様、そろそろ夕刻です。旅籠を取りましたので其処に行きましょう。麗亞さんは俺が城まで送ってまいります。」
謙「このまま攫ってしまっては駄目なのか?」
それを聞いて麗亞はちょっと焦った。
「ごめんなさい・・・謙信様私帰らないと…皆が心配します。」
困った顔をする麗亞を見た謙信は。ふぅっとため息をつく。
謙「仕方ない・・・今日はこれで許す。」
そう言うとまるでかすめ取るように麗亞の頬に口づけを落とした。
「っ・・・謙信様っ///」
瞬間過ぎてなにをされたか分からなかったが、頬に残る謙信の唇の温かさがそれを物語っていた。
佐「謙信様、セクハラ駄目ですよ・・・。」
謙「少し位いいではないか・・・。可愛げのない。」
そう言うと立ち上がり、城下の方へ1人歩いていく。その背中に慌てて思い出したように麗亞が叫ぶ。
「あのっ、謙信様、今日は本当に有難うございました。」
そう言って深々とお辞儀をした。