第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
玄「大方、また佐助が口でも滑らせたんだろう。アレが動き出すとなぁ・・・。益々姫との逢瀬が減るじゃないか。」
幸「信玄様も十分めんどくさいですが、謙信様はちょっと更に異常さが加わってきますから、厄介ですね。」
二人で頭を抱えながら、時は過ぎて行った。
麗亞は午後は城で開かれた節句の行事に参加し。片や信玄は幸と謙信の動向を探りつつ、城下に潜伏、そして当の謙信は安土へ向け佐助とひたすら馬を走らせていた。
***5月6日***
「はぁ~昨日は楽しかった~。政宗のちまきも完璧に再現されてたし~。城内での行事も凄かった~。信長様も一緒に見れたら良かったのに。早く帰って来ないかな・・」
昨日の事を思い出し、部屋で信長様への羽織を縫っていた。麗亞は一針一針思いを込めて。まだ帰らぬ信長を思い針を通すのだった。そして丸一日縫ったおかげで、信長様への羽織は完成したのだった。
***5月7日***
昨日は一日籠りっきりで縫い物をしたせいで体中がバキバキになった麗亞は気晴らしに城下に出かけた。いつもの道を行き、その間にも、ちょくちょく頼まれていた針子の仕事の着物を各々の屋敷に届けていると昼過ぎになっていた。すると、いつも行く茶屋の前でひと騒ぎがあった。
浪「こんなケチな物出しやがって~。おい!どうしてくれんだ店主~」
酔っているらしい浪人が、老店主を突き飛ばした。よろよろと入口で倒れ込む。それを見た麗亞は思わず駆け寄り、老店主を抱き起した。
「大丈夫ですか?」
店「麗亞様、大丈夫です。危ないですから下がってて下され。」
弱々しく告げた老店主が体を起こそうとしたが、何処かを打ったらしく、苦悶の表情をする。
「動いちゃだめですよ、誰か呼んで来ますから。」
浪1「何だお前~。邪魔すんのか?まだこのじじぃとの話は終わってねーんだよ!」
「この人が何をしたって言うんですか?何もして無いじゃないですか?」
浪2「こんな不味い団子なんか出しやがったんだ、責任とってもらわねーとな。」
他の二人の浪人もひどく酔っているようだ。
「そんなに酔っていてはここの美味しい団子の味も分からないじゃないですか?飲みたいならここじゃなくて他所で飲んでください!迷惑です!!!」
キッと浪人を睨みつけて老店主をかばった。