第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
麗亞はこの異様な状況に耐えられず体を捩り、逃げようとするが、光秀の思いの他見た目の華奢さとは違うがっちりした体躯にとらえられ身動きすらとれずにいた。
「と、とにかく離してください、暴れませんし逃げませんから、お願いします。」
値踏みするように麗亞を見つめる光秀だったが、拘束していた腕を解いた。
光「とにかくこれは極秘任務なのだ静かにしていてくれ。」
秀「すまないな、麗亞。」
2人に促され、座布団の上にストンと座ると秀吉が口を開いた。
秀「5の月の12の日は何の日か知っているか?」
はて?その日は何があるのか皆目見当もつかず、何か大事な事があったものかと首をひねる。
光「どうやらやはりこの娘のささやかな頭の中身にはその日がどんな日だか解っていないようだな。」
嫌みな事を言われるが、本当に分からない物は仕方が無く。
「何の日なのですか?私にはさっぱりと」
秀吉は声音を一段低くそして更に小さな声で麗亞に告げた。
秀「5の月12の日はお館様の産まれた日なのだ」
「え?嘘でしょ? わたし信長様から何にも聞いてない。」
まだ恋人になったばかりの麗亞には信長様の誕生日などというデータは頭に入っておらず、頭から冷や水でも掛けられたようなそんな気持ちになった。
「なんでそんな大事な事?!ええっ?どうしよう私何も用意してない。」
光「まぁ、仕方ない、あの通り信長様は自分の事となると無頓着だ、だから自ら産まれ日などを宣伝するようなお人でもないから知らないのも仕方がないか。」
「でも、ありがとう当日過ぎてから言われるより全然よかった!で、それと秘密ってどんな関係があるの?」
光「思いの他、察しが悪いな。この娘」
呆れた顔の光秀をよそに、秀吉は少し興奮気味に話をつづけた。
秀吉「信長様はあんな性格なので毎回趣向を凝らしてそして、新鮮な新しい事をせねば驚かない、そこで私たちの出番だ、今回はどういった宴をするかをここで皆と話し合う場なのだよ。ここなら誰も普段使わないし、信長様もいらっしゃらない、うってつけの場所なのだ。」
「そうだったの・・・・・」
秀吉「これを見られたからには、麗亞お前にも手伝ってもらうぞ。」
「うん、もちろんだよ!!ぜひ手伝わせて!」