第1章 Happy birthday! ~信長様お誕生日準備編~
なんだか四月の終わり頃から安土城の皆がそわそわしているのに気づいた麗亞。また戦でも始まるのかと心がザワザワしたその時。秀吉が普段使っていない部屋からそろりと出てきた。それを見て思わず声を掛けようとしたら。
「ひで・・・ぅんんっ・・・」
後ろから口を塞がれがっちりと腰を固定されそのまま引きずられて、その奥の秀吉が出てきた部屋に連れ込まれた。
すると後ろから、聞きなれた声が麗亞の耳元で聞こえる。
?「手荒い真似をして済まない、ただ、騒がれるとちと困る。だから、この手を放しても静かにしてくれないか。」
麗亞は口を塞がれたまま首をこくこくと頷く事しかできなかった。
口を拘束した手は離れふと、その相手を見るとやはり白銀の髪の男がニヤリとほくそ笑むように意地悪く麗亞を捕まえていた。
「光秀さん・・・」
光秀は人差し指で静かにという仕草をする。麗亞は少し声のトーンを下げて小声で問うた
「なんでこんな事するんですか?それにこの部屋は一体?」
するとそこに先ほど出て行った秀吉が戻ってくる
秀「麗亞、なんでここに?」
見つかってしまったとばかりの顔をする秀吉。麗亞が答える前に光秀が口を開いた。
光「麗亞がお前がこの部屋から出てくるのを見て大声で呼ぼうとしたので、まずいと思いここに連れ込んだ。いま事を荒立てると厄介なのでな。」
秀「そうか、それは手間を掛けさせたな、見つかってしまっては仕方ない。大人しく返すわけにもいくまいて。」
2人のやり取りを聞いているとなにやら怪しいきな臭い話に聞こえて来て、自分がそれを知ってしまった焦りと冷汗が背中にツツ・・と流れるのが解る
「な・・・何の話ですか・・・?私何も知りませんし、何も言いませんから、だから・・・」
その麗亞の青ざめた顔を見た光秀は口の端を上げ、意地悪そうに低く囁く
光「今更、知らぬ存ぜぬとは言わせない、見られたからにはお前も観念することだ。これがお館様の耳に入るとなお不味いことになるからな。」
「の・・・信長様に知られちゃいけない事してるんですか?そ、それはまずいんじゃなぃですか?それに秀吉さんまで絡んでるってどういう事ですか?」
光秀と秀吉はお互いちらりと視線をかわしそして不敵な笑みをこぼした。