第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
~春日山城~
謙「佐助はおらぬか?」
家臣に佐助の居所を問うても、皆首を横に振るばかり。そう言えば今日どころか、昨日も一昨日もみかけないと気づいた謙信がさらにイラつく。
謙「さては、信玄になにか頼まれて出かけて行ったのか?あやつは私の家臣ではないか。つまらぬ。戦がないならせめて稽古でもとおもったのに、肝心な相手もおらぬとは。」
イライラも限界に近付いたその時。謙信は何を思ったのか、急に後ろを振り向きざまに刀を抜き斬りかかった。
キン----。
そこには短刀で謙信の姫鶴一文字を受ける佐助の姿があった。
佐「やめてくださいよ、後ろに来ただけで斬りかかるなんて。」
謙「急に主の断りもなく居なくなるからだ。どこに行っていた佐助。」
ギラリと目を光らせる謙信に涼しい顔で答えた。
佐「ちょっと野暮用が有りまして、出かけておりました。とりあえず刀をしまってください。謙信様。」
挑戦的な笑みを浮かべる謙信に。相変わらずの涼しい顔継続。そしてすこし低い声で佐助が言う。
佐「おさめないと、謙信様秘蔵の梅干しを隠してしまいますよ。」
それを聞いた謙信は目を見開き、少し嫌そうな顔をしながら刀をおろし鞘に納めた。
謙「・・・。全く・・・。で、どうだったのだ安土の様子は。」
佐「安土に行っていたと知っていたのですか?謙信様。」
謙「おおかた信玄にでも頼まれて様子を見てきたのだろう?戦の準備はすすんでいたか?まだはじまらぬのか?」
目をキラキラさせて問う謙信に、無表情で佐助は答える。
佐「残念ながら、そのような事はなにも。なにせ信長様のお誕生日と麗亞さんのお誕生日の準備で忙しいでしょう。戦どころではありませんよ。」
謙「信長の・・・フッ・・くだらない。そんな事にうつつを抜かしておるのか安土の武将共は。・・・・。」
興味ない顔を明らかにしたが、ふと、考え込んでまた佐助に問うた。
謙「今なんと申した?信長と誰の誕生日だ?」
佐「あっ・・・」
又失言をしてしまったと思ったがそれも後の祭り。謙信の鋭い視線に言わざるを得ない雰囲気になってしまった。
佐「13日が麗亞さんのお誕生日なのです。」
その名前を聞いた途端。なにか遠い目をする謙信。
謙「あやつの、生誕日なのか・・・。・・・と、言う事は・・まさか信玄のやつ!!!」