第3章 Happy birthday!~進撃の龍虎編~
玄「そういえば姫には会えたかい?」
信玄は思い出したように佐助に問う。
佐「それが、安土城が今騒がしくて、彼女には会えず。部屋にも行ってみましたが、何処かに出かけていたようで・・・。」
怪訝そうな顔をする信玄。
玄「安土城が騒がしい理由とは?まさか戦を仕掛ける算段でもしていたのか?」
佐「それが・・・。戦などではなくて、おそらく5月12日の信長様のお誕生日の宴の準備で、他の武将たちがこそこそと色々計画しているようで。そう言えば・・・」
と言いかけて佐助はハッとして口をつぐむ。
幸「どうした?なにか気になる情報でも?」
佐「いや・・・そんなに大した事ではない。気にしないでくれ。」
歯切れの悪い佐助の言葉に何か感じた信玄。
玄「佐助、隠し事はいけないよ。どんな些細な事でもいい、情報があれば私に教えなさい。」
にっこりと微笑んではいるけど、なにか否応なしに聞き出そうとしている信玄の物言いに佐助は渋々口を開く。
佐「実は・・・その次の日の13日が麗亞さんの誕生日だという事がわかったんです。ちょうど彼女の部屋に行った時にふと、それを記した物が置いてあって。」
それを聞いた瞬間信玄が不敵な笑みを浮かべた。
玄「ほぅ・・・。魔王の次の日が姫の生誕日であったか。それは何にも代えがたい情報だ。知らせてくれて有難う佐
助。」
佐「後、南蛮の品を売る行商は明日の5月より、数日だけ安土に来るようです。取りあえず俺が調べた事は以上です。それでは、俺はすぐさま春日山城に戻ります。」
幸「全くお前も忙しいな。悪かったな、いろいろ調べてもらって。」
佐助は軽く微笑み会釈をすると、また天井裏へと消えたのだった。
玄「さて、明日は市にでも行くか。な、幸。今日はゆっくり休め。」
幸「言っときますけど、お目当ての品を買ったらすぐ帰りますからね。分かりましたか?」
ジロリと睨む幸村の視線を見ないように聞こえないふりをして、そそくさと寝床へと入る信玄。
玄「なんかいったかー幸。俺はもう眠いから寝るぞ。」
そんな信玄を見て幸村の心に嫌な予感がふつふつと湧き上がってきたのだった。そしてふと思った
幸(もしかしてすぐ帰れねーかもしんねーな・・・。厄介な情報仕入れやがったな佐助・・・。聞かねー方がよかったかも・・。)
そう思ったが既に後の祭りだった。