第2章 Happy birthday!~信長様奮闘編~
大名の領地に着いた後、信長は領地内の視察を行ったが、特に目を見張るものもなく。その後は信長達をもてなす宴が開かれた。
信長は飲んでも飲んでも酔いもしない酒を流し込む。
長「つまらん・・・」
ぼそりと呟いた信長の声を拾った家康が告げる。
家「長居は無用かと思われます。大名の思惑もなんだか別のことのように思えてなりません。」
長「あぁ・・・。明日にはすぐさま支度をすませ安土に向け発つ。用意をさせておけ。」
そう告げると。盃の酒を煽った。そこに大名が一人の女を連れてやって来た。
大「信長様、ご紹介申し上げます、僭越ながら、私の娘の静姫(しずひめ)と申します。お見知りおきを。」
娘を信長に紹介するとかこつけて、側室にでもしてもらおうという大名の思惑が丸見えであった。
静「信長様、よろしくお願いし申し上げます。静(しず)とお呼び下さいませ。」
外見は見め麗しき女性ではあるが、面白味が全くないし信長には興味も全く湧かない。信長は静を一瞥すると
長「一つ聞くが、儂には安土で待っている姫が居る。お前の娘など紹介されても困るのだが?」
信長の威厳のある声音にビビったのか、慌てる大名は言い訳めいた事を云う際につい本音交じりの言葉を漏らす。
大「そ・・・そのようなつもりは!! 信長様にはご寵愛されている姫君がいらっしゃることは重々承知しております。ただ、安土を離れこちらにお越し頂いたのでその時だけでも、ちょっとしたお世話やらができればと思い・・・。」
長「大丈夫だ要らぬ世話だ、それに長居はしない。明日には安土に向けて発つ。」
その言葉を聞いて大名が青くなる。
大「な・・な、何かこちらが粗相でも・・・。」
そこで隣で控えていた静が思わず声を出す。
静「信長様!ぜひ私めを安土にお連れ下さい!私なら信長様を!」
途中で信長がすっと立ち上がり、そばに置いていた刀を抜き静姫の前に突き付けた。
長「お前なら私をどうするのだ?」
冷たい瞳で見据えられ静姫が言葉を失ったかと思うと、その威圧感と恐怖でガタガタと震えはじめた。
長「牢にでも入れて時々いたぶる玩具として生涯を過ごすなら安土に連れて行っても構わぬが・・・。」
静「鬼・・・。」
冷たく笑う信長に静姫が思わず声を漏らした。その言葉に信長は無表情で見下ろした。本当につまらない女だと心から思った。