第6章 馬術
『乗馬って初めてしたけど、楽しいね。』
お気楽そうな面してるミサキは、訓練だと言うのに、そんな間の抜けた事を言いやがる。
これ、採点されてたなら減点だぞ。
「なぁ!ちょっと離れてみようぜ!」
コニーの提案にマルコが「うん。この調子なら大丈夫だね。」と返した。
「『やったー!』」
重なるコニーとミサキの声に、俺は深く溜息を漏らす。
たかが馬に乗ったくらいで、何がそんなに面白いんだか。
これからは嫌と言う程乗らきゃなんねぇっつーのに……。
でも……
俺もまだガキだ。
4人でこうやって笑い合えるのは、素直に楽しい時間だと思えた。
「ミサキ!あんまり離れんじゃねぇぞ!」
速度を上げたミサキに声を掛けるとコニーから「母ちゃんみてぇだな、お前。」と笑われ、少しばかり苛ついた。
マルコも釣られて笑ってやがる。
『ジャン!』
キラキラと、太陽を浴びながら笑うミサキ。
光が反射する髪は、絹の様に風に靡く。
「何だ?なんかあったか?」
花が咲いた様に笑うミサキの顔は、目を細めたくなる程眩しくて……
『連れ出してくれてありがとう。』
それが、出会った時のものか、他の事なのか分からなかったが……
「あぁ。」
小さく、答えた。