第6章 馬術
僅かばかり威圧的な表情のユミルの言葉に、俺は思い切り眉を寄せた。
なんだお前?
……って、お前の方がなんだよ。
相手に物を聞くときは自分から名乗らなきゃいけねぇっつーモンも知らねぇのか?
つーか……
何で俺がこんなところでナンパしなきゃならねぇんだ!
晴れているから俺と馬ドライブしようぜ?とでも言うと思ったのか?
『ユ……ユミル!?違うの!私の友達!ごめんね、ジャン。変な感じになっちゃって。馬はクリスタの周りにいると沢山寄ってくるんだけど、どの馬がいいのか分からなくて悩んでたの。』
「なんだ。ミサキの連れか。紛らわしいんだよ。」
やれやれ。と、俺から視線を外すユミル。
コイツ女だよな?
女じゃなかったら胸ぐら掴んで思い切りブン殴りてぇんだが、男ってオチはねぇのか?
薄く目を開けユミルを見る俺の前に、慌ててクリスタが入り、ミサキに一頭の馬の手綱を渡す。
「え、と!ミサキには、この子がいいんじゃないかな?ミサキには分からないかも知れないけど、凄く懐いてるみたいだし。」
『そう?ありがとう。クリスタ。クリスタが言うなら間違いないね。こんなに大人気だし。』