第6章 馬術
適正試験をクリアし訓練兵となり、2日が経った。
最初の2日は、歴史と巨人の生態について頭に叩き入れる座学を中心に行われ、俺とミサキは講義が終わると共に、あの湖へ行き、復習も交えつつ、ミサキに文字の勉強を教えた。
先日、マルコなんかの名前を出しやがるから、うかうか居眠りもしてられねぇ俺は、そりゃぁ真剣に聞いていたわけよ。
この世界では当たり前だと言われるような内容。
それを知っていようが、だ。
今日は、どうやら座学はないらしく、教官から言い渡されたスケジュールは馬術講義、との事。
空は真っ青に晴れ、馬術日和と言えば少しは響きがいいが、馬に乗るのも、慣れるまでは足腰に負担が掛かり、相当な体力を使うハズ。
下手に浮かれてはいられない。
まず始めに行うのは馬選び。
気が動転するような状況を共に乗り越えていく、自分の愛馬。
みんな慎重に選んでいる。
俺?
俺は適当に寄って来たやつに決めた。
ミサキの方をチラリ。見ると、クリスタとユミルとの3人で話していた。
周りには馬が何故か5頭……
やけに馬ばかり集まっているような謎な風景。
自分の馬の手綱を近くの木の枝に結び、ミサキに歩み寄る。
「よぉ。馬は決まったか?」
後ろからの俺の声に、肩をビクつかせたクリスタ。
そして、そのクリスタの仕草に気付いたユミルが俺を見る。
「なんだお前?ナンパなら他所でやれよ。」