第1章 黄泉還り
────────────────
─────────
どのくらい意識を手放していたのだろう。
瞼の外に光を感じて薄く目を開けると、そこには私が見た事もない景色が広がっていた。
揺れる草花
生い茂る木々
太陽に照らされて光る湖
『………こ…れは……?』
初めて見る、人工的じゃない美しい景色に目を見開く。
空気は澄んでいて、視界を動かすと、遠目には図鑑でしか見た事がない、蝶々が綺麗に舞っていた。
……ワケが分からない。
頭の整理が追いつかない………。
私は深呼吸し、瞼を再び閉じてみる。
そよそよと風が吹き、肌に触る空気が暖かい。
ここが天国と呼ばれる場所なんだろうか……?
薄っすらと瞳を開け眩しく光る湖を見つめた私の耳に、草木が人口的に揺れる音がした。
ーガサ……ガサッ
「……クッソ!痛ってぇ………あの頭突きで、巨人も殺せんじゃねぇか?」
音がする草むらに目を向けると、私とそう歳は変わらないくらいの男の子の姿。
切れ長の瞳
短く切ってある髪は太陽に反射し、キラキラと輝いている。
ここが……
ここがもし、天国だとするのなら……
彼は、もしかして………
『………神様?』