第5章 座学
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ミサキと食堂に着く頃には完全に陽が落ちて、もうすでにそれぞれが夕飯を食い始めていた。
入口扉を眺めていたマルコが俺達に気付いて手を上げる。
「あ!ミサキ!ジャンも!遅いから心配したよ!」
ちょっと待て。
ジャンも、って……
俺はオマケか?
母ちゃんが買い物に行った時に「これは子供達にやってくれ」と和かに渡されるような、アレと同じ扱いか?
マルコの言葉に反応し、コニーもこちらに振り向く。
「夕飯取っといてやったぞ!食おうぜ。」
マルコとコニーの向かいの席には、配給が二人分。
俺達は中央の通路を通って、置かれている配給の前に腰を下ろした。
ここに来てからいつもの席、いつものメンバー。
『ありがとう、コニー。マルコも心配掛けちゃってごめんね。』
ミサキが微笑み、軽く手を合わせる。
そんなミサキの姿を見て、マルコが不思議そうな顔をした。
「こんな時間まで何をしていたんだい?」
辺りはもう暗い。
マルコが不思議に思うのも無理はねぇか?
「何って、企業秘密だ。」
なんて言えば「何だよオメーら!隠し事は良くねぇぞ!」と吠えるコニー。
困ったように笑うミサキ。
……ミサキ。
人間には色んな奴等がいる。
友達がいた事がない。なんてお前は言っていたが、少なくとも、ここにいる奴等はお前の事を受け入れてんだよ。
暴力や恥辱なんかがねぇこんな繋がり。
中々いいもんだろ?
隣で笑うミサキの頭をクシャリと撫で、置かれているパンに手を伸ばした。
「夜は、ちょっと危ないんじゃない?」